貸借対照表で、会社の「財産」がわかる
ある会社が100億円の資産を持ち、本社が都心にある高層ビルだったとしても、銀行からの借入金が200億円もあったのでは、とても優良企業とはいえません。資産を超える大きな借金を抱えた会社と取引をするのは、とても危険です。いつ倒産してもおかしくないからです。
このため、会社の「財産」をくわしく知ることが必要です。会社の「財産」は、決算書である「貸借対照表」で知ることができます。貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」の3つのグループで成り立っています。 貸借対照表のつくりは、[図1]のとおりです。
[図1]
貸借対照表のつくり
資 産 | 負 債
|
純資産 |
それでは、つぎに「資産グループ」の中身からくわしくみていきましょう。
資産とは何か
「資産」をイメージする
わたしたちは、大切にしている「自分のモノ」を持っています。お金はもちろん、時計やくつ、あるいは、車やバイク。さらにマイホームやマンションを持っている人もいるでしょう。これらは、いずれもわたしたちの大切な「資産」です。
簿記の「資産」も私たちが持っている「資産」をイメージすれば、ほぼ同じです。資産とは、「会社が大切にしているさまざまなモノ」です。なお、社員は大切ですが、モノではないので簿記の「資産」ではありません。具体的に「資産」グループのおもな勘定科目をみていきましょう。
「資産グルーフ」゚のおもな勘定科目と内容はつぎのとおりです。
・現金
わたしたちが、毎日つかっている1万円札や千円札などの紙幣や100円玉などの硬貨である「現金」。さらに簿記では、小切手を受け取ったときも「現金」として扱います。小切手は、すぐに現金にかわるからです。
・当座預金
銀行の「当座預金」をつかったときに使用します。たとえば「小切手」で支払いをするときは、当座預金から引き落とされるため「当座預金」を使用します。小切手で支払うことを「小切手を切る」あるいは、「小切手を振り出す」という表現を使います。ビジネス用語として定着しているので、ぜひ覚えておきましょう。
・普通預金
銀行の「普通預金」をつかったときに使用します。普通預金にお金を預けた、あるいは、普通預金からお金を引き落としたときに使用します。
・売掛金
商品を売り、代金が回収されていないときに使用します。会社間の取引は、すぐに代金が回収できないのが実情です。このような商品の売買を「掛(か)け売り」といいます。
・受取手形
約束手形や為替手形の手形を受け取ったときに使用します。実務ではほとんどが約束手形になります。約束手形とは、支払人が、支払日に決められた金額を受取人に支払う証券のことです。
負債とは何か
「負債」とは、会社の借金です
さまざまな借金
わたしたちの生活で、借金は身近なものです。クレジットカードの利用は、その代表的なものでしょう。買った商品の代金をその場で支払わず、あとで支払うのですから、これは借金です。また、マイホームの購入のために住宅ローンを借りている人も多いでしょう。これも借金です。会社にもさまざまな借金があります。会社の借金を「負債」といいます。
「負債グループ」のおもな勘定科目と内容はつぎのとおりです。
・買掛金
仕入れた商品の代金未払いに使用します。ふつう、会社間の取引は、あと払いになります。いわゆるツケ払いです。このような商品の仕入れを「掛(か)け仕入れ」といいます。
・支払手形
約束手形を使って、代金を支払ったときに使用します。支払先に対して、決めれた金額を支払日に支払わなければなりません。
・借入金
銀行などからお金を借りたときに使用します。
純資産とは何か
純資産とは、資産から負債を差し引いた「純粋な財産」である
純粋な資産とは何か
資産から負債を差し引いた残高が「純資産」です。たとえば、3000万円のマイホームの購入に 2000万円の借金をしたケースを考えてみましょう。このとき、マイホームの純粋な資産は、いくらでしょう。購入代金の3000万円でしょうか?2000万円の借金がありますから、これを差し引く必要があります。
つまり、3000万円―2000万円=1000万円。
マイホームの純粋な資産は、1000万円と考えられるわけです。
会社の純資産の考え方も同じです。資産から負債を差し引き、純粋な資産である「純資産」を求めることができます。
「純資産グループ」のおもな勘定科目と内容はつぎとおり。
・資本金
株主から出資されたお金です。
・資本準備金
株主から出資されたお金は、基本的に「資本金」となります。しかし、一部を資本金に含めないことができます。この資本金に含めない部分が「資本準備金」です。
・任意積立金
会社が「積み立ててきた利益」です。